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探し物は見付からない。
何を探しているか、解らない。
私は悩んでいた。
「久し振りー!!」
大きく手を振った先には、私を見付けて明らかに嫌な顔をした幼馴染みが歩いていた。
会うのは、えーと…二ヶ月振り?
兎に角久し振りだった。
「お前…何でこんな所に居んだよ。此の間転校したばっかだろ。」
「んー、何つーか…里帰り?」
「…はぁ?」
「良いじゃんか別に。帰って来たかったから帰って来たの。」
「帰って来たかったから帰って来れる距離じゃ無いだろ。」
転校先から此処まで、汽車で三時間近い。
確かに簡単な距離では無かった。
しかも今日は月曜日で、普通なら学校がある。
転校した中学二年の私が此処に居るのはとても不自然だ。
「まぁまぁ、良いじゃないの。其れより久し振りに幼馴染みに会ってさぁ、何かこう…無いワケ?」
「何かって何だよ。」
「嬉しそうに、久し振りーっ、とか、元気だった?とか。会えて嬉しい的な何か。」
「…不愉快ならあるけど愉快は無いな。つーか何しに来たんだよ。」
「うわっ、冷た~。何其れ、何其の態度、寂しく無い?」
喚き散らす私から目を逸らし、
五月蝿ぇな…。
と小さく呟いて溜め息まで吐いた。
冗談では無く、本当に何か寂しい反応だな…。
まぁ、無愛想だったけど。
中学に入ってからかなり無愛想だったけど。
久し振りに会ったんだから、もう一寸何か欲しかった。
「で、律子は何しに来たワケ?」
「………探し物?」
「…其の間と疑問は何だよ。」
「ぶらり、的な?」
「はぁ?お前馬鹿か?」
「馬鹿とは何だよ。良いじゃん、竜汰に会いたかったの。」
「帰れ。」
即答だった。
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