俺の結論。

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何で今リコの事を思い出したか。 夕飯のハンバーグ。 リコは母さんが作るハンバーグが兎に角好きだった。 何時もリコの分も作ってあって必ず満面の笑みで食いに来て居た。 おばさんの作るハンバーグは世界一美味い、誰にも負けない、其処らのレストラン何かより全然美味しい。 何て云うもんだから、母さんも図に乗り調子に乗りで鼻が高くなってしまった。 そして俺はリコの家の青椒肉絲をよく食べさせられた。 感想を参考にするから、とか云いながら全く味の定まらない青椒肉絲。 ショッパイ日もあれば薄味の日もある。 素直に感想を述べている割りに、参考にされて居ない。 おばさんはちゃんと分量を図っては居るけど、其れが結構適当だから足が定まらない。 他の料理に至ってもそうだ。 変な日もあって、リコが俺の家で飯を食い、俺がリコの家で飯を食っている事がよくあった。 家に息子が出来たみたいね、とおばさんもおじさんも喜んで居た。 家でもそうだったんだろうな。 おじさんは何時も、息子が居るって良いなぁ、何て云いながら上機嫌にビールを呑んだ。 「女二人の中に男一人って云うのは結構肩身が狭くてね。何時もソファーに追いやられてしまう。」 「あら、貴方結構態度を大きくして座ってるじゃない。」 「そうでもしないと威厳が保てないんだよ。」 「よく云うわ、自分で新聞も取りに行かない癖に。」 笑い会う二人は本当に仲が良かった。 毎回同じ様な掛け合いなのに毎回笑い合って居た。 おじさんは去年仕事中の事故で亡くなった。 俺はおじさんが好きだったからかなりショックだった。 然しおばさんはクヨクヨもしないで逞しかった。 お父さんの保険掛けておいて良かったわ、そう云って笑うおばさんの顔は凛々しかった。 どっちかって云うと、家の母さんの方が何時までもクヨクヨして居た。 家族ぐるみの付き合いだったから、雨萱も家族同然なんだよ、まるで兄弟の様だった…。 親父は棺桶の前で静かに泣いて別れを惜しんだ。 リコは泣きこそはしなかったけど、寂しそうな顔で遠くから写真を眺めて居た。 葬式が終わった後、リコに大丈夫か?と聞いたが、 私がパパの変わりにママを一生掛けて愛するんだから、泣いて何か居られないよ。 リコは笑って居た。 親子揃って強いな…思わず感心してしまった程だ。
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