君に教えを請いたい

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南原に勉強見てやることでそろそろ考査近いことに驚いたが、俺の方は大丈夫だろ、と田崎とも別れ部屋に行けば、だ。 「いい加減にしろ……!」 「いい加減にと言われても、僕はここで樹くんの帰りを待ってるだけなのでお構い無く部屋で大人しくしてて良いよ?」 「お前がそこにいるせいで部屋から出られないと言っている」 「樹くんを探しに行こうとするからだよ」 しまった、忘れてた。 人の部屋の前で正座する氏政と、ドアの隙間から不機嫌駄々漏れのサムに回れ右しようとしたが、「樹くん、お帰りなさい!」と氏政が立ち上がりすぐ傍に駆け寄ってくる。 目敏いな畜生。 「あれ……腰、どうしたの?」 「……ちょっと痛めただけだ」 擦りながらそう言ってやれば、氏政が「えっ!?」と手を上下に動かしながら「お風呂で、腰を!?」と良からぬ誤解をしやがるせいで、サムがバーンとドアを蹴り開け出てきた。 「イッキ……何処のどいつに」 「何を誤解してるんだよ! 違う、大浴場で転けたんだよ!」 「どう言う状況で転けたんだ」 「樹くんともあろう人がドジっ子みたいに足を滑らせて転けるなんてことしても受け身取って無傷なのに!」 「俺だって人の子だぞ、足滑らせて転けることもあるんだから、湿布でも寄越して労れよ」 流石にこの誤解バーゲンセールの中で「全裸で南原に抱き着かれて押し倒されて痛めた」なんて言った日には、南原の未来が無くなりそうだ。 もう田崎にガッツリ怒られたばかりだから、流石に可哀想だな、と思ってれば、いつの間にか居なくなってた氏政が息を切らせながら湿布を渡してきた。 「わざわざ持って来たのか、悪いな」 「良いんだよ! 樹くんが腰痛で楽しみにしてる体育祭に出られなかった方が大変だからね」 「それもそうだな、今年もお館様の為に勝利を」 「まだチーム担当顧問決まってないよ、樹くん」 そうだった、何かついうっかりお館様で居る気がしたが、そう言うのは職員会議で決めるんだった。 「あ、ところでサム」 「何だ」 「考査まで、何回か南原の勉強見てやることになったから、不良活動に支障ない程度で貸してくれ」 「巽の? ……いつ、そんな話に、なったんだ?」 「いや、頼まれてな」 「……イッキ……あまり巽を甘やかすな」 サムが厳しい顔で首を横に振ったんだが、さてはペットが他人に懐いて寂しいんだな? お前のペットは取らないから安心しろ、と頷けばため息を盛大につかれた。
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