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君と同じ場所に居たい
4月──それは、新入生がドッキドキの学園生活を夢見て真新しい制服を……
「樹くん! 君の勇姿を納める為にビデオカメラを新調してきたんだよ!」
「えぇい、うるさい! 人の妄想タイムに割り込んでくるな!」
「新学期1発目の右ストレートありがとうございます!!」
俺の周りではあはあうるさい氏政をぶん殴って大人しくさせてから、俺は書類をピラピラする。
「ったく。勇姿も何も、俺はただ風紀についての諸注意を言ってくるだけだろ。ついに頭でも湧いたのか」
「樹くんを大勢の新入生の前に晒すだなんて……僕の樹くんがまた人気者になっちゃう!」
「誰がお前のだ!」
「照れなくても良いんだよ、樹くん……っ。毎朝行ってきますのキスしてるく、せ、に!」
「妄想と盗撮写真による行為を現実化しないでくれ吐き気がする」
氏政を黙らせてから、バ会長のスピーチを聞く。
そろそろ俺の出番か……ん?
「ところで、何で氏政がまだ居るんだよ。新学期登校は午前中で終わってるだろ?」
「またクラスが違ったので、少しでも、樹くんと一緒に居たくて」
「……風紀副委員長として、って言葉が欲しかったな、今は」
氏政にシラケた視線を送ってから、壇上に向かう。
進級してもクラスは変わらず……変わったと言えば王道がSクラスになったくらいか。
大金持ちはSだ、って言うしな。
俺も風紀委員長になったからSクラスになるらしかったんだが、お館様が特待生はAと踏みとどめてくれたらしい。
しかも、俺はお館様にしか懐かないって教師間で有名だったらしく、今回の担任もお館様!
最高過ぎるぜ!!
『続いて、風紀委員長から学園生活についての諸注意。村瀬樹委員長、よろしくお願いします』
放送委員に案内され、俺はマイクの前に立つ。
その瞬間色めき出す新入生。
落ち着け、こんな平凡見て興奮するな。ん、もしかしてバ会長の後にこんな平凡が出てきたからか?
すまん、我慢してくれ。
『静粛に。風紀より、学園生活について注意。校則違反、暴力沙汰、公共物の破損等は風紀が厳重に罰則を与えることになってる。もう高校生なんだから、そんなことする暇あったら青春しろ。そんな訳で楽しい学園生活を送りたかったら、風紀の世話にはなるな。以上』
そう打ち切り、脇に掃けると黄土色の雄叫びが聞こえる。
何をそんなに盛り上がる場面があったんだ?
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