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「残念だけどマルク、俺だって見せないから」
きーと五月蝿くいがみ合う2人の背後から聞こえてくる低い軟らかなテノール声
「なんだよヴァン、来てたのかよ」
ストレートがかった髪と縁眼鏡
ヴァンティ・ホリック
「来ていたのに気がつかなかったのマルクだろう
俺は最初から教室にいたよ
まぁおはよう、アリス」
「あぁおはようヴァン」
ヴァンはマルスを軽く睨み、僕の隣の席へ腰を下ろす。
窓側の一番後ろの席に座る僕。
そのの隣にヴァン、斜め前にマルク、僕の前にはリアその前にはエフィ。
彼らは自然とそこに腰を下ろした。
中等部と違い高等部になってからは、席順が自由になり、新しく高等部の授業が始まったここ数日間はずっとこの席で過ごしているのだ。
楽しそうな笑顔
あぁ、みんな同じクラスでよかった…
「ねぇアリス、貴女バカ貴族ジュニア達に毎日悪口言われて嫌になったりしないの?」
先生が来るまでの数分間の間に、不意にリアが僕に問いかける。
「えっ、あぁ
そうだな、もう慣れてしまったからな」
「慣れてしまったって…」
困ったようなリアの顔が僕の白黒の視界へ移りこむ。
僕にもわかる
これは困惑の色――――。
「しょうがないよ」
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