魔力に愛された少女

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ごくりと一口冷たい水を飲んでしまえば、僕はあの嫌な夢から開放される。 いつも通りの現実へと戻れる。 いつからだろうか、物心ついたころから僕は毎日のように夢を見るようになった。 それは自分が死ぬ夢で、幼いころに色を失った白黒な僕の世界に唯一色を見せてくれた。 その夢の中では、死に方ばらばらだが僕は必ず血を流していた。 真っ赤な血を――。 そして死んでいるのはすべて子供の僕。 今までに大人の僕が死ぬ夢は見たことがない。 でもよくよく思い返してみれば、一番成長していたのが、確か丁度今くらいの僕だったような気がする。 .
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