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【 2 】
千葉県千倉港近くの岸壁。
深夜であり、街灯が無い事もあって、下手に足を踏み出せば岸壁から、足を踏み外しそうな場所に数人の人影があった。
全身黒づくめ。
暗視ゴーグル。
無線インカム。
その姿を見る限り、真っ当な人間で無い事は見て分かる。ただし、彼らを傍らで見ている人間はいない。
密漁者とは、装備が違っている。どちらかと言えば、密漁者と言うよりスパイのような出で立ちであろうか。
その中に、渡辺 蓮次がいた。
蓮次がいるというだけで、この集団の目的は密漁では無く密輸という事になる。
それを知る者は、この日本中で限られた一部の者だが。
「船は、まだなのか?」
「渡辺さん。今回は、港じゃなく岸壁です。向こうの人間も、色々と慎重なんですよ」
「ここにしたのは、向こうだ。なら、時間を守るのは取り引きの常識だ」
「ですが、相手は中国人ですから」
蓮次を諭す男は、ある意味で過激な事を言う。受け取り方次第で、中国人が時間にルーズと聞こえる。
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