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彼の中での中国人がそうなだけで、蓮次もそれで納得はしない。
何よりこの場に居続ける事は、蓮次達にとって好ましくない事なのだ。
もしも、目撃されてしまったら。
警察が駆け付け、身柄確保となれば言い逃れが出来ず逮捕される。そうなれば、蓮次などは痛くない腹を探られる事になるだろう。
「ふっ、そうなったら何年の実刑を食らうかな……」
過去に遡れば、今やっている以上の事をいくつもやっている。
犯罪スレスレな事もあれば、立派に犯罪と言える事までだ。
「昔のツケが今にか……」
頭のどこかで覚悟をしていながらも、妻や産まれてくる子供の事を考えると、逮捕される訳にはいかないという気になる。
この取り引きが終われば、自由の身になれるだろうか。
それは、無理だろう。
優花とお腹の子供を人質に取られている以上、その状況を何とかしない限り解放などされない。
それを分かった上で、取り引きの役目を受けた。
蓮次は、先の見えないトンネルの中にいる気分だった。
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