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やがて、辺りにエンジン音が響き出す。
乗り合い漁船程度の小さな船は、東京湾内から出てきたようであったが、実際には中国からの密輸船だ。
どういった航路で、何日かけて来たのかは不明。
ただ、前回の取り引きの成功が、中国人たちを大胆にさせたのか、今回は色々と注文をつけてきたらしい。
「とにかく、急ぐんだ」
低く、重苦しい声で蓮次が指示を出す。
前回に引き続き、蓮次が積み荷に触れる事は無いが、岸壁上から吊り下げた様子からしつ、ひとつの箱の重量はかなりのもの。
中身は、何だろうか。
蓮次には、それが何なのか既に予測が出来ていた。
恐らくは拳銃だろう。
今日の昼間、一連の事件の流れなのか葛西で拳銃を使い、殺人を犯して犯人が自殺したとニュースで見た。
しかも、現場には多数の警察官がいたとか。
その事件で使われた銃は、前回の積み荷の中身だったのだろう。
そして今回は、その銃と同じものを大量に持ち込んだ。自分は、それに利用されている。
蓮次は、表情を歪めた。
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