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抵抗する人間を拉致し、現場から離脱する事は難しい。
それよりニセ者を捨て、逃げる方が楽で安全である。
周辺には、大量の捜査員がいるのを気付いていたのだから、どちらを選ぶべきかは考えるまでも無い。
拉致するには、特別な理由がある。
そう考えるのが自然だ。
では、その理由は何か。
「まさか、睦目 陸道と交換しろと要求する気か?」
それは、ある捜査員が思い付いて溢した言葉だった。しかし、その意見には妙な説得力がある。
逮捕の危険をかえりみず、ニセ陸道を拉致したのだ。
しかも、生存していると仮定した時に、この捜査員の利用価値としては何が考えられるのか。
それは、人質として利用する事。
色々と仮定してみても、それ以外に思い付かなかった。
「奴等が連絡をしてこないのは、その交渉の準備の為じゃないのか」
我妻が、そう意見した。
元々は、昨日の葛西臨海公園で陸道を奪還する計画だった筈。
その計画に添って準備をし、シュミレーションを重ねて来たのだろう。
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