♯11 混沌の始まり

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   少女の浮遊能力も、数センチが限界だろう。  沙菜は、その能力で陸道を見た。  ぼんやりと陸道の瞳が輝いており、未来を見据える能力が備わっている事が分かった。ただ、少女と同じように頼りない能力。  本人も、それは自覚しているようだ。  能力者としては、沙菜の方が成熟度が高いのだろう。  そして、遂に最後通告が言い渡される。 「沙菜、今日で最後だ」 「えっ……」 「今日で何かしらの結果が出せぬなら、分かってるな?」 「うっ、はっ、はい……」  これまで、何人かの女性が急に姿を消していた。  単に、陸道の元を去っているのか、それとも何かしらの処分されるのか。  考えずとも、ここで行われている事は違法であり、通報されてしまっては都合が悪いだろう。  私は、殺されるのか。  そのような思いで、送迎のワゴン車に乗り込み、料亭へと運ばれていく。 「じゃあ、行ってらっしゃい」 「はい……」  料亭の座敷に通される。  そこにいたのは、今までで一番の大物政治家であった。
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