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民営党 伍島田 将一。
伍島田は、いきなり沙菜を抱こうとしたりはせず、座敷に料理と酒を運ばせると沙菜に酌をさせた。
「男を知らぬようだな」
「えっ?」
「だから、今までで誰にも抱かれなかったのだろう」
「…………」
政治家の顔などよく知らない沙菜でも、テレビで見た事のある大物政治家が、そんなような事を言い出した。
どうやら、コンパニオン事務所を利用する政治家の間で、沙菜の存在は噂になっているようだ。
誰にも抱かれない女。
「最初に抱く事が出来るのは、誰だろうかと話しているぞ」
「そんな……」
「今どき、そこまで純情な女がいるとはな。男を知らぬのか、それとも好きな男でもいるのか?」
まるで、時代劇の悪代官のような口ぶり。
冗談のような状況ながら、これは真実であり笑えない現実だ。
それが、恐怖となる。
「では、これでどうだ?」
伍島田は、そう言うと百万円の束を沙菜の前にそっと置く。
百万で抱かせろ。
これは、任侠映画にあるような状況である。
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