♯11 混沌の始まり

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   違法な営業である事は分かっていた。  いつの日か、そんな日が来るかもしれないとも思っていた。だがそれが、今すぐに来るような事では無いとも思っていた。  それが今、起きている。  更に、運転手はとんでもない事を言い出す。 「しかも、事務所を密告をしたのが、君を紹介した陸道って人みたいなんだ」 「えっ? 何で……」 「いや、理由までは分からないけど、他の事務所の友達がいて、その事務所の社長と陸道って人が話しているのを聞いたんだ」  運転手は、沙菜と陸道の関係を知らない。  その為に、沙菜の狼狽える姿を見て、言ってはいけない事を言ったかと逆に動揺していた。  それこそ、特別な関係なのかと思ったのだろう。  確かに、特別ではある。  そして、そんなような動揺のを仕方をしたのも事実で、沙菜にしてみれば陸道から捨てられた感覚だった。  だが、恋人などに捨てられたのでは無い。  飼い主に捨てられた、犬や猫のような気持ちだと思えた。  今日が最後と言ったが、既に切り捨てられていたのかもしれない。
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