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違法な営業である事は分かっていた。
いつの日か、そんな日が来るかもしれないとも思っていた。だがそれが、今すぐに来るような事では無いとも思っていた。
それが今、起きている。
更に、運転手はとんでもない事を言い出す。
「しかも、事務所を密告をしたのが、君を紹介した陸道って人みたいなんだ」
「えっ? 何で……」
「いや、理由までは分からないけど、他の事務所の友達がいて、その事務所の社長と陸道って人が話しているのを聞いたんだ」
運転手は、沙菜と陸道の関係を知らない。
その為に、沙菜の狼狽える姿を見て、言ってはいけない事を言ったかと逆に動揺していた。
それこそ、特別な関係なのかと思ったのだろう。
確かに、特別ではある。
そして、そんなような動揺のを仕方をしたのも事実で、沙菜にしてみれば陸道から捨てられた感覚だった。
だが、恋人などに捨てられたのでは無い。
飼い主に捨てられた、犬や猫のような気持ちだと思えた。
今日が最後と言ったが、既に切り捨てられていたのかもしれない。
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