ペンシルダイスⅡ〈前編〉

♯１１ 混沌の始まり

　
　　　　　　【 ５ 】

　エックスデーは、十一月十一日。

　それは、例の鈴木と思われている男からの要望で決まり、その情報はマスコミにも公開するよう事も付け加えられた。

　捜査本部には、政府の人間も常駐するようになっており、その人物が連絡し政府からの発表としてマスコミに情報公開した。

　受け渡しは、東京刑務所の正門前。

　時間は、正午。

　その際に、拉致された捜査員と交換という事になる。

　恐らく、首謀者側の狙いとしては、マスコミに公開して受け渡しの様子をテレビ中継し、警察の無能さをより国民にアピールしたいのだろう。

　だが警察とて、黙ってそれをさせるつもりは無い。

　今回が、ラストチャンス。

　そのつもりで、受け渡し後に首謀者と陸道を追跡し、本拠地を特定し一斉摘発に踏み込む算段である。

　計画は、綿密に練り上げられた。

　そうは言っても、受け渡し期日が決まったのは二日前。

　実際のところ、どこまで抜りが無いかと言えば微妙なところである。だが、昼夜を徹して準備は進められた。