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始まりの鐘 ~Game start~
光が少しずつ弱まり周囲を見渡した盃の目に入ったのは青空だった。
「ずっとあそこにいたから少し眩しいな」
夜叉の世界は夜しかないためこの世界の空は太陽の光でかなり眩しく見える。
「ここどこだ?」
疑問に思いながらもう一度周囲を見渡して見ると遠くの方に小さな村のようなものが見える。
盃は今、村から少し離れた場所にある小高い丘の上にいる。
(そういえば夜叉は...)
「とりあえず他の世界に着いたら生物を探してみよ。世界にはそれぞれの理があるゆえ生物を観察していればその世界の理がおおまかにじゃがわかるじゃろ」
(...的なこと言ってたな)
「まぁ、とりあえずはあの村に行ってみるか」
そうして盃は村に向かって行った。...4分程で。
「案外近かったな。」
盃のいた丘から村までは約4キロ程だったのだが、盃は恐ろしいほどの速さで移動していたのである。
盃は村の手前で急停止したため足元には摩擦で焦げたあとができた。
それは当然村の人も見ていたため村の入り口付近にいた人は奥の方へと逃げていってしまった。
「おーい!」
盃が呼んでみても返事は無く村の人々にとっての盃の第一印象は最悪なものになった。
「参ったな...」
盃が村の入り口付近で困っていると一人の少女が声をかけてきた。
「...どなたですか?」
少女は怯えながらも必死に声を出して訊ねてきた。
「おぉ!話を聞いてくれるのか。俺のことは、さか...狂騎って呼んでくれて構わない。お前は?」
少女は縮こまりながらも口を開いた。
「お前じゃないです...私は、茜っていいます。えっと...16才です。狂騎さんの歳はおいくつですか?」
「19だ」
「この村にどのようなご用でしょうか?」
茜という少女はゆっくりと質問をしてきた。
「用か...なんて言えばいいんだろうな。でも取り敢えずあれだ、危害は加えんからあまり怯えないでくれ」
「はい...わかり..ました」
茜は小さくうなずいた。
「敬語なんて使わなくていいって 」
「はい」
茜は少し微笑みながら返事をした。
「なぁ、なんで村の人達は何もしてない俺にこんなに怯えてんだ?」
「...この村には奴隷商が来るからです」
「奴隷商?」
「はい...この村は[オル]という村なのですがこの村から10キロほど東に進むと[アルマン]という大きな国があるんです。
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