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盃は手に持っていた袋を思いっきり地面に叩きつけた。
「なんだこれは!」
袋に入っていた粉はすぐに結界の中に充満し視界が白くなった。
「なぁ、お前ら鉄同士をぶつけるとどうなると思う?」
その問いかけに兵士の一人は静かに答えた。
「勢いよくぶつければ...火花が出る」
「正解、頭いいなお前、じゃあ結界に囲まれたこの小麦粉の中でそれをやったらどうなるでしょうか?」
「それは...火花が...まさか!」
「やっぱり頭いいなお前、正解だよ。正解は...」
盃は手に持っていた兜を思いっきり相手の鎧にぶつけた。
「粉塵爆発」
直後、結界の内部で大爆発が起きその衝撃で結界が崩れた。
「ばかな!...兵士達を巻き込んでの自爆だと!」
茜はその光景に絶句していた。
「狂騎...さん...」
力無く盃を呼んだ。
「なんだ?」
盃は何事も無かったように火の中から出てきていた。
「なぜ貴様が生きている!」
「あぁ、悪いな俺他のやつらより少し体が頑丈なんだよ。この程度じゃ死なねぇよ」
盃は言葉を言い終えると同時に地面を蹴り一瞬で魔術師との距離を詰めた。
「二度とこの村に近づくな!」
そして盃の右の拳が魔術師の腹にめり込んだ。
3日後...
「世話になったな」
「いえ、こちらこそ本当にありがとうございました」
魔術師を倒してから盃は村の人々に受け入れてもらいこの3日間は村の修理を手伝っていた。
「狂騎さんは強いんですね」
「そうか?」
「はい!」
茜は以前よりも笑うようになっている。
「もう行っちゃうんですか?」
「お前が言ってた[アルマン]っていう国に行ってみようかと思ってな」
「あの...私も連れてってくれませんか?」
「はぁ!どうして」
「私はこの村から出たことがなくて...それに両親が村を出てから帰ってきてないから...」
「つまり、村以外を見たいってのと親を探したいってことか」
「...はい」
「俺は他の世界にも行くけどいいのか?」
「他の...世界?」
「俺はいろんなところを旅しないといけないからな。信じるかどうかはお前に任せるけど」
「面白そうですね!行きたいです。もしかしたら私の両親が異世界に居るかもしれませんし」
「しょうがねぇな、じゃあ行くぞ。まずは[アルマン]に行くか」
「はい!」
茜は笑顔で返事をした。
「あの...」
「なんだ?」
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