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その旧市街の一番奥にあるのが元スピリット本部にして現在の俺、すなわち十六夜 盃の根城である。
俺がしている何でも屋とはこの旧市街の人々からの依頼を受けるもので物探しや建物の修理などの簡単なものからマフィアなどへの潜入のような難しく危険なものまで幅広く受けている。
そして現在...
「人探し?」
俺の前には大柄な男が立っていた。
「そうだ。この者を探して欲しい」
そう言うと男は懐から一枚の写真を取り出した。
写真に映っていたのは13~14歳ぐらいの髪の長い白髪の少女だった。
なによりも印象的だったのはその眼だった。
その綺麗な碧眼に俺はいつの間にか釘付けになっていた。
「この後ろの建物はなんだ?」
男は不思議な顔をして言った。
「それを知らないのか。それは1年ほど前に建てられたクロスベルで一番のデパートだ」
「悪いな俺はここ5年間一回もクロスベルには行ってないんだ」
男はため息をつきながら懐から数字の書いた紙を取って渡してきた。
「見つかったらそこに連絡しろ。金なら3000万ほど用意してやる。なにがあっても見つけろ」
「なっ!3000万!」
そして男は出て行きざまにいった。
「頼んだぞ」
「ちょっ、まて名前は?...って行きやがった」
深いため息をついて立ち上がった。
「久しぶりに行くな...クロスベル、5年振りか...」
俺は黒のロングコートを羽織ってここ[万屋]から出ていった。
旧市街は一応ウエストベル市の範囲だが中心部からはかなり離れているため人々の感覚では市外となってしまっている。
クロスベル市はシャルディア王国最大の都市であるため向かうにはウエストベルの中央広場から出ているバスに乗らなければならない。
なので俺はとりあえずバスでウエストベルの中心部に行くことにした。
バイクは持っているのだが5年の間遠出することが無くメンテナンスをまったくしていないので今回はバスを使うことにした。
万屋から一番近いバス停は歩いて5分ほどの場所にある。
バス停に着くとちょうど良くバスが来たため乗ることにした。
ウエストベルに近づいていくにつれて人が増えていき懐かしい光景が目の前に広がってきた。
30分程でウエストベルの中央広場のバス停が見えてきた。
到着したあとバスを一度降りてクロスベル行きのバスを待つことにした。
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