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「…レオン?」
戸惑うアガットに、レオンはジャケットのポケットから取り出した小さなケースを手渡した。
「アガット。俺と結婚してくれ」
「……っ!」
微笑ってそう告げたレオンに、アガットは大きくその目を見開いた。
微かに震える手で受け取ったケースを開くと、二つの金の結婚指輪が七色の月光に煌めいていた。
「…レオンっ…」
「まさか、断らないよな?」
堪えきれない涙を零したアガットの頬を撫でて、レオンは微笑んだままで問うた。
「断るはずないっ…!」
嗚咽と共に首を振ったアガットを、立ち上がったレオンが抱きしめた。
「…泣くな」
優しく言って、レオンはアガットの震える背をさすった。
「…そうだ。ユーゴ達や他の連中に感化された訳じゃないからな?」
「……?」
何か思い出したように声を上げたレオンに、アガットは潤んだその瞳を瞬いた。
「お前に初めて想いを伝えた時から…いつか、お前が俺を受け入れてくれたらプロポーズしようと思ってた。俺とお前を出会わせてくれた…この教会で」
「…レオン…」
微笑ってそう語ったレオンに、アガットも泣きながら微笑んだ。
「よし、このまま二人だけで結婚式を挙げよう」
アガットの頬の涙をそっと拭って、レオンは言った。
「汝アガット・ニールズはレオン・バーティを伴侶とし、病める時も健やかなる時も、生涯…いや、永遠に愛する事を誓いますか?」
レオンはアガットの手を取って、神父の台詞を一部変えた言葉で問うた。
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