エピローグ

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ステンドグラスから、七色に彩られた月光が降り注いでいた。  「…凄いな…」 幽玄な空気すら漂わせる教会内を見渡して、アガットは感嘆の声を漏らした。  「綺麗だろう?いつか、お前に見せてやりたいと思ってたんだ」 傍らに立ったレオンが、そう言って微笑った。 今レオンとアガットは、十三年前に初めて出会ったバークスの教会を訪れていた。 幻想的な虹色の月明かりに包まれた夜の教会に、二人以外の人影はなかった。  「昔ここで、父さんは母さんにプロポーズしたんだ」  「そうなのか?」 レオンが落ち着いた口調で告げると、アガットは僅かに目を見張った。  「断られたらしいけどな」  「どうしてだ…?」 苦笑しつつレオンが言うと、アガットは首を傾げた。  「『娼婦が警察官の妻になれる訳ないでしょう?』って言われたそうだ」 答えたレオンは、ふと視線を落とした。  「それから間もなく母さんは死んだから…自分の死期を悟っていたのかもしれない」  「…そうか…」 呟くように零したレオンに何と言っていいか分からず、アガットはただ頷いてその頬を撫でた。  「…昔の話だ。それに、今はきっと二人一緒にいるはずだ」 アガットの手に自身の手を重ねて、静かに言ったレオンは微笑んだ。  「…そうだな」 そう言って微笑み返したアガットに、レオンは触れるだけのキスをした。 レオンはアガットの手を握ったままで、床に膝をついた。
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