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一つだけ灯された照明の下、サイドテーブルに置かれた時計が静かに時を刻んでいた。
ベッドに突っ伏すようにして、アガットはいつの間にか眠っていた。
小さな寝息を立てる彼へと手が伸びて、その柔らかな金の髪を撫でた。
指先がその頬にそっと触れると、アガットのまぶたが動いた。
ゆっくりと彼は目を開けた。
「…レオン…」
「悪い。起こしちまったな」
顔を上げた視線の先で、ヘッドボードに寄り掛かったレオンが微笑った。
「気がついたんだな…!」
ほっと息を漏らしたアガットの瞳に涙が滲む。
「心配かけたな。俺は、どれ位眠ってた?」
申し訳なさそうな声でレオンが問うと、
「…丸一日以上だ」
アガットはサイドテーブルの置時計を見やって答えた。
「そんなに…?その間、ずっと付いててくれたのか?」
我ながら情けないと思いつつ、レオンはさらに聞いた。
「昔、お前もそうしてくれただろう?」
「…え…?」
そう言って微笑ったアガットに、レオンは怪訝な顔をした。
アガットはベッドに乗ると、足を絡ませるようにしてレオンに寄り添った。
レオンの腰に両腕を回し、その逞しい胸に顔を埋めて目を閉じる。
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