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キャリーが嬉しそうに小躍りする。 「こっちは泣きたい気分だ。」 「まぁそう言わずに。」 キャリーが自分の腰に手を当ててポーズをとって見せる。 「こんな美人のお姉さんと一緒にいられるんだから、もっと喜びなさいよ。」 「俺は物静かで控えめな女の方が好みだ。」 「そーですか。悪かったわね。ご希望に添えられなくて。」 キャリーが頬を膨らませる。 「まぁいいわ、まずここから離れましょう。」 切り替わりが速いのが女性である。(特にキャリーは…) 「その後のことはそれからよ。」 「ちょっと待てよ。」 出鼻を挫くクラマ。 「さっき、やりたいことが二つあるって言っただろ。後一つは何だよ?」 ラマレの質問を聞いてキャリーが灰色の空を見上げる。 「・・・青い空を見てみたい。」 「は?」 思わずラマレも空を見上げた。 「空の色って灰色よね。」 「当たり前だろ?それがどうした?」 「昔、この空は青色をしていた、ってどこかで聞いたことがあるの。」 キャリーが空に手を伸ばす。 「私はその、透き通るような青で染まっている空って言うのをこの目で見てみたいと思うの。」
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