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「・・・馬鹿げた話だな。この空が青いだなんて、想像できないね。」
ラマレが空から目を下ろした。
「そうね。」
キャリーも空に伸ばした手を下ろしたが、目は空を見続けている。
「それでも叶うならば、青い空を見てみたい。」
「俺は今の空で十分だ。青い空なんて君が悪いぜ。」
クラマがもう一度空を見上げる。
「この灰色の、いや銀色の空が俺は好きだ。」
「・・・フフ、このくすんだ灰色の空を銀色と表現するなんて、結構ロマンチストなのね。」
キャリーがラマレを見て笑う。
ラマレはしまったと言う顔をし、俯きながら数歩進んで振り返る。
「う、うるせぇよ。早くここから離れるんだろ!」
その顔は赤かった。
「行くぞ!!」
そう言いながら早歩きで先を行く。
「素直じゃないんだから。」
キャリーがラマレの後ろ姿を見つめる。
「でも、これからは退屈しなくて済みそうね。」
そう呟いてラマレの後を追った。
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