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すまなそうに肩を傾げて見せる女。
「覚えていないならそれでも構わない。」
青年が断言する。
「お前が俺の仇であることに変わりはしない。」
「アナタがそう言うのならそうなのかもね。」
女が額に手を当て、何かを考えだし……
「・・・う~ん、そうね。いいわよ、私のこと殺しても。」
「えっ!?…い、いいのかよ、そんなアッサリと……」
まさか殺していいと言われるとは思ってもみなかった青年が驚いている。
「他を殺しているツケっていうのは、いつか自分に回ってくる。」
女が腰に下げているナイフの塚を撫でる。
「そのツケの種類を自分で選んで払えるっていうのなら、アナタみたいに若い子に殺されるのも悪くないわ。」
「だ、だけどよ。いきなり今この場で殺されて、心残りなこととか無いのかよ?」
「あら、私を仇と言う割には随分と気を使ってくれるのね。」
女が微笑む。
「仇と追ってきた女がこんな軽い女で、拍子抜けしちゃったかしら?」
女が青年にすり寄る。
「それとも正面から向き合って見たら、私のあまりの美しさに惚れてしまったとか?」
「ふ、ふざけてんじゃねぇよ。」
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