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青年が慌ててすり寄る女を押し返す。
「い、一応情けで聞いてやったのによ。」
「ごめんごめん、悪かったわ。」
女が軽くウィンクしながら青年から離れた。
「・・・そうねぇ、心残りというか二つやりたいことがあるわ。」
女が指を二本立てて言う。
「一つはエルシオンを潰すこと。」
「エルシオンを潰すだとッ!?」
「そう。私を裏切ったエルシオンを潰すの。」
驚く青年を見ながら女が言った。
「裏切ったって、まるで自分がエルシオンに属していたのような言い方だな。」
「そうよ。属していたようなじゃなくて、属していたのよ。」
「なッ!」
青年の顔に冷や汗が流れ落ちる。
「それじゃ、さっきお前を追っていた奴等って本当に……」
「言ったはずよ?エルシオンの構成員と正面からやり合って、生き残る自信があるのならって。」
何か問題でもと言うような顔をしている。
「何だよ、それ?」
青年が壁に打ちひしがれた。
「あぁ、そっか。もしかしたらアナタ、さっき私の仲間と思われちゃったかしら下手したら組織の暗殺リストに載っちゃったかもね。」
女がポンと手を叩く。
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