妖精拾いました。

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酒ばっか飲んでて、大したもの食べていなかったせいか、小腹が減った。 だけど、このタイミングで食うとデブるんだよなー。 悲しいかな、20代の頃と違って太りやすくなりました。 けど誘惑には勝てず、コンビニで発泡酒と焼鳥を購入。 「あ、また間違えた」 気が付くとアパートの裏にある公園に出ていた。 今住んでるアパートは最近引っ越したばかりな上に、入り組んでいて、時々道を間違えてしまう。 「まあ、いいか」 ベンチに腰を降ろして、発泡酒を開けると、缶はカシュッと音を立てた。 いつ聞いても、気分の良い音だ。 グッと一口。 ……寒い。 ホットコーヒーにすれば良かった。 一口飲んだだけで缶をベンチに置き。 背もたれに寄りかかると、澄んだ濃紺の空にオリオン座が浮かんでいた。 「結構見えるもんなんだな。都内なのに」 子供の頃、じーちゃんの家で見た星の方がすごかったけど。 あの頃は、どうでも良い事にテンション上げてたよな。 昔は毎日が非日常だったのに。 今は毎日毎日エンドレスなルーチン・ワーク。 社会人10年目ともなればデカイ失敗もなく、仕事はまあまあ順調。 良くも悪くも、普通の日常を繰り返してる。 って、何考えてんだ。 アホらし。柄にもなく、感傷的な気分浸ってどうすんだ。 「はぁー……」 深いため息を吐き出す。 体重い。 怠い。 こんなとこで油売ってないで、さっさと風呂入って寝ろよ。 明日、見積もり……つくらなきゃいけないのに………… 頭では分かってんのに。 意識は、沈み込んていくように遠退いていく。 ダメな大人だな……
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