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眠り込んで数分。
いや数時間経過していたかもしれない。
「んぎゃおーーーーっ!」
背後で奇声が!
反射的に振り向くと、草むらの中で黒っぽいもんが暴れてる。
カラスだ。
その奥の小さな生き物が、さっきの奇声の正体だな。
子猫かなんかだろう。
「オラァッ!あっち行け!クソカラス!」
「カァァーーーーッ」
俺は猫好きだ。
「おぉーい、大丈夫か?」
カラスを追い払い、そこにいるであろうキューティな存在と接触を図る。
キティよ。
日常に疲れ果てた、リーマンを癒してくれ。
「出ておいでぇー」
職場でこんな声出したら同期の真紀子さん(名字が俺と同じなので、彼女は名前で呼ばれてる)に。
『キモいぞ、武田。ストレスため過ぎだ』
なんてツッこまれるだろう。
そんな事を頭のすみに追いやり、草むらの中で震えてる2つの影に近付く。
段々暗闇に目が慣れてきて、その奥に30cmくらいの扉のようなものがある事に気付いた。
「なんだ?」
こんな所に誰かがゴミでも捨てたのか?
まあ、いいや。
それより。
「猫ちゃぁーー……」
伸ばしかけた手が動かない。
体が硬直した。
……マジかよ。
数時間前にその存在を否定していたのに。
小さな扉の前に座り込んでいる2つの影。
子猫じゃない。
ち……
「小さいオッサンいたぁぁーーっ!」
草むらの中には体長20cmくらいの人間が2人。
短い髪の奴は先が3つに別れた槍を持ち、もう1人の髪の長いの方はデカイ剣を持っている。
「誰がオッサンだ!」
「軽率な判断は身を滅ぼしますよ」
しかも。
めっちゃキレられた。
よく見りゃ女の子だ。
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