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「ひぇー…やっぱ寒い。これじゃビールは美味しく飲めないな…」
最近独り言が多いのは歳のせいだろうか。冷たい風が早く帰りたい気持ちを後押しする。
「おねーさんっ」
誰かに呼ばれた。ゆっくりと振り返る。
「あ…。」
そこには彼がいた。見たことがなかった私服姿でこちらにひらひら手を振っている。
「おねーさん今日もビール買ったの?しかも今日2本じゃん!!のみすぎー」
そう言って袋を覗く彼。
「だめだよー?こんなにのんだらおねーさんベロンベロンになっちゃう」
そう言って彼はニカッと顔を上げた
ちょ…反則…。
「よっ…酔わないかもしれないじゃないっ!」
「んーん、おねーさんビールはいつも一本だしビールじゃないときもいっつも度数弱いのだし。」
「よく覚えてるのね」
ちょっとびっくり。
「だって、おねーさんのことずっとみてたしっ!!」
「…へ?」
「だからおねーさん、この一本俺のね?はいっ」
ニカッと笑い手を差し出す彼。
「え?」
「手!!寒いでしょ!おねーさんも寒いでしょ?はやく帰ろー」
「え…あ…寒いけど…え、帰るってどこに…」
「おねーさんの家。」
「えぇ…?」
「だめ?」
そう言われたら断れないけど…。
「私君がそんな軽い子だなんて思わなかったなー」
「…軽くなんかないよ?おねーさんは俺の初恋なんだし♪」
「え…」
「俺はガキの頃からおねーさんのこと知ってたの!さ、帰ろ!!」
…思い出した。
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