コンビニの悪魔

4/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「ひぇー…やっぱ寒い。これじゃビールは美味しく飲めないな…」 最近独り言が多いのは歳のせいだろうか。冷たい風が早く帰りたい気持ちを後押しする。 「おねーさんっ」 誰かに呼ばれた。ゆっくりと振り返る。 「あ…。」 そこには彼がいた。見たことがなかった私服姿でこちらにひらひら手を振っている。 「おねーさん今日もビール買ったの?しかも今日2本じゃん!!のみすぎー」 そう言って袋を覗く彼。 「だめだよー?こんなにのんだらおねーさんベロンベロンになっちゃう」 そう言って彼はニカッと顔を上げた ちょ…反則…。 「よっ…酔わないかもしれないじゃないっ!」 「んーん、おねーさんビールはいつも一本だしビールじゃないときもいっつも度数弱いのだし。」 「よく覚えてるのね」 ちょっとびっくり。 「だって、おねーさんのことずっとみてたしっ!!」 「…へ?」 「だからおねーさん、この一本俺のね?はいっ」 ニカッと笑い手を差し出す彼。 「え?」 「手!!寒いでしょ!おねーさんも寒いでしょ?はやく帰ろー」 「え…あ…寒いけど…え、帰るってどこに…」 「おねーさんの家。」 「えぇ…?」 「だめ?」 そう言われたら断れないけど…。 「私君がそんな軽い子だなんて思わなかったなー」 「…軽くなんかないよ?おねーさんは俺の初恋なんだし♪」 「え…」 「俺はガキの頃からおねーさんのこと知ってたの!さ、帰ろ!!」 …思い出した。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!