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まずは『怖く無かった話し』から。
あれは高校1年生の夏休み。
母親と妹は祖母の家へ帰省。
この時私はバイトが有る為、初めて祖母の家へ帰省せず、1人であの家に居ました。
夕方まではアルバイト、夕方以降は幼なじみや中学の後輩等が遊びに来たりして、結構賑やかに楽しく過ごしていました。
そんなある夜。
「ふぁっ…、ぁ。」
そろそろ寝ようかな…。
パタン!、と読んでいた本を閉じ、眠い目を擦りながら玄関や縁側の戸締まりを確認。
確かにこの時、全ての鍵が閉まっている事を確認して、布団へ潜り込んだんです。
六畳の部屋と四畳半の部屋の間に有る襖を取り、1部屋として使っていた我が家。
当時私は六畳の奥にある四畳半で寝ていました。
電気を消して、さぁ!寝るぞ!とタオルケットを肩まで引き上げた時。
カラカラカラカラ…。
…え!?
確かに鍵が掛かっている事を確認した筈の玄関の引き戸が開く音。
カラカラカラカラ…タンッ!
そして閉まる音。
え…、え…!?
ミシッ…、ミシッ…。
玄関のたたきを上がり、廊下を歩く足音。
その足音は六畳の前、台所側から部屋へ入る入り口で止まり。
シュッ…、シュッ…。
今度は部屋の入り口に有る引き戸の開く音はせず、部屋の中の畳の上を歩く音。
その足音は、壁側を向いて横になっていた私の背後へ、真っ直ぐ近付いて来ました。
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