第2夕刻

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部屋の入り口の引き戸は、前回話した妖怪がいる為、絶対に閉めている。 だけどそれを開けずに入って来ると言う事は…。 生きて無い人だ。 最初…、あまりにもハッキリ聞こえた音に『泥棒?』と思っていたのですが。 相手が『生きて無い』と分かり、さっきまでとは違う恐怖が噴き出して来る。 シュッ…、シュッ…。 その足音は私の背後で止まり。 私の様子を窺うように、膝を付いて後ろから覗き込んで来ました。 私の恐怖はピークへ。 怖い!怖い怖い怖い怖い! 怖い怖い怖い怖い怖い怖い! 怖い!怖い怖い……あれ? 何だろ…、怖く無い? 霧がスッ!と晴れるように、さっきまでの恐怖心が嘘のように消えたのです。 その瞬間…、私を覗き込んでいる相手の正体が分かりました。 あぁ……。 お爺ちゃんだ……。 生まれて初めてお盆に帰省をしなかった私の事を、どうやら祖父は心配して、様子を見に来たみたいなのです。 この日は送り盆。 きっと帰る途中に寄り道をして、私の所へ来てくれたんだと思います。 1分もしない内に気配は消え、家の中は何事も無かったように静かになりました。 布団から抜け出し、仏壇の前で手を合わせ。 「帰らなくてごめんね、心配してくれて有り難う。」 と言った後。 「でもね、お爺ちゃん。 今度からはあんな怖い出方しないでね!普通で良いから!普通で!」 と抗議する事も忘れませんでした。
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