2173人が本棚に入れています
本棚に追加
そして『怖かった話し』
いつもなら1度寝ると、絶対に朝まで起きない私なのですが。
あの日は何故か、真夜中に目が覚めてしまったのです。
「…今、何時?」
布団の中から手を伸ばし、枕元に置いてある目覚まし時計を掴んでボ~ッ、とする頭で目を凝らし、時計を見ると深夜2時30分。
まだこんな時間じゃん。
んー…、とうつ伏せになり、時計を枕元に戻す。
仕切りの無い四畳半と六畳の部屋の中、私の隣に妹、その向こうでは母親の寝息が聞こえる。
母親と妹に背を向ける形で寝返りを打ち、横を向いた体制でもう1度寝よう、と思った時。
ドンッッ!!!
「…っ!!!?」
頭と腰を上から誰かに押さえ付けられた。
しかもその瞬間金縛りに。
体も動かない、声も出ない。
上からの圧迫によって息も出来ない。
私の頭に右手、腰に左手、その誰かは物凄い力で押さえ込んで来る。
しかもただ押さえるだけじゃ無く、頭と腰を鷲掴みにして来るので、食い込むような指が痛い。
この時私は、産まれて初めて金縛りを体験したのだが、何が1番怖かったかと言うと。
目を開けたまま金縛りになってしまった事だ。
「……っ!!ぐっ…!!!」
痛さと苦しさと恐怖が、体中の神経や毛細血管にまで入り込んで、今にも溢れ返りそうになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!