第2夕刻

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そして『怖かった話し』 いつもなら1度寝ると、絶対に朝まで起きない私なのですが。 あの日は何故か、真夜中に目が覚めてしまったのです。 「…今、何時?」 布団の中から手を伸ばし、枕元に置いてある目覚まし時計を掴んでボ~ッ、とする頭で目を凝らし、時計を見ると深夜2時30分。 まだこんな時間じゃん。 んー…、とうつ伏せになり、時計を枕元に戻す。 仕切りの無い四畳半と六畳の部屋の中、私の隣に妹、その向こうでは母親の寝息が聞こえる。 母親と妹に背を向ける形で寝返りを打ち、横を向いた体制でもう1度寝よう、と思った時。 ドンッッ!!! 「…っ!!!?」 頭と腰を上から誰かに押さえ付けられた。 しかもその瞬間金縛りに。 体も動かない、声も出ない。 上からの圧迫によって息も出来ない。 私の頭に右手、腰に左手、その誰かは物凄い力で押さえ込んで来る。 しかもただ押さえるだけじゃ無く、頭と腰を鷲掴みにして来るので、食い込むような指が痛い。 この時私は、産まれて初めて金縛りを体験したのだが、何が1番怖かったかと言うと。 目を開けたまま金縛りになってしまった事だ。 「……っ!!ぐっ…!!!」 痛さと苦しさと恐怖が、体中の神経や毛細血管にまで入り込んで、今にも溢れ返りそうになっていた。
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