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息をしようとしても出来ない。
苦しい!…怖い!
その時。
パサッ……。
私の左頬に何か落ちて来た…。
眼球だけを僅かに動かして見ると、それは黒く長い髪の毛。
上から私の頬に落ちている、その長い髪の毛に背筋が凍るような衝撃が走る。
そして…その髪の毛と一緒に見えたモノ。
目の端に、私を押さえ付ける真っ赤なマニキュアを塗った、青白く血管が浮き出ている細い指。
それが見えた瞬間、私の恐怖はピークに。
何とかもがいて逃げようとするが、相変わらず体は動かない。
ズ……ズズ……。
それ所か私の体が布団の中へと沈んで行く。
助けて!助けて助けて助けて助けて助けて!
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
私は心の中で必死にお経を唱える事しか出来ない。
パァーーーンッ!!
「……っ!!!…っハァ!!」
お経を唱え始めてから少しして、物凄い光と何かが弾けるような音と同時に私の体は解放された。
跳ね起きた私の周りに広がるのは、夜の暗さと静寂。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ。」
必死に酸素をかき集めるように呼吸をし、辺りを見回した。
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