第2夕刻

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息をしようとしても出来ない。 苦しい!…怖い! その時。 パサッ……。 私の左頬に何か落ちて来た…。 眼球だけを僅かに動かして見ると、それは黒く長い髪の毛。 上から私の頬に落ちている、その長い髪の毛に背筋が凍るような衝撃が走る。 そして…その髪の毛と一緒に見えたモノ。 目の端に、私を押さえ付ける真っ赤なマニキュアを塗った、青白く血管が浮き出ている細い指。 それが見えた瞬間、私の恐怖はピークに。 何とかもがいて逃げようとするが、相変わらず体は動かない。 ズ……ズズ……。 それ所か私の体が布団の中へと沈んで行く。 助けて!助けて助けて助けて助けて助けて! 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い! 私は心の中で必死にお経を唱える事しか出来ない。 パァーーーンッ!! 「……っ!!!…っハァ!!」 お経を唱え始めてから少しして、物凄い光と何かが弾けるような音と同時に私の体は解放された。 跳ね起きた私の周りに広がるのは、夜の暗さと静寂。 「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ。」 必死に酸素をかき集めるように呼吸をし、辺りを見回した。
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