第2夕刻

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隣では同時小学生の妹が無防備なイビキをかいている。 母親も熟睡してるみたいで寝息と一緒に、肩が静かに上下していた。 何とか呼吸を整えて、恐怖を脱した事で全身の力が抜けて行くように感じた。 頭と腰に残る手と指の感触。 尋常じゃ無い位汗をかいていたらしく、まるで水に浸かったみたいにパジャマまでずぶ濡れになっている。 この後その女の人が現れる事は無く、あの女の人が何者なのか…、何故現れたのか…、それは今でも分からない。 そして、あの女の人を弾き飛ばすような光と音の正体も、今だに分からないでいる。 翌朝…。 結局その後怖くて眠れ無かった私は、欠伸をしながら服を着替えていた。 「あんた…、それどうしたの?」 「え?」 母親の言葉に、指差されている腰の部分を見る。 そこには、くっきりと5本の指の跡が痣のように残っていた。
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