2173人が本棚に入れています
本棚に追加
あれは、17歳の冬。
「お疲れ様でした。
お先に失礼します。」
夜居酒屋でアルバイトをしていた私は、その日も何時も通り22時過ぎにお店を出た。
駅前に停めてあった自転車を出し、何時ものようにペダルを漕ぎ出す。
呼吸する度に零れる息が白い。
家からの最寄り駅から更に1つ隣の駅。
田舎なので駅から駅の間も結構距離が有る。
2駅分の距離となると、自転車で片道40分近い時間を帰る事になる。
車通りの多い大通りを通り抜け、静かな川沿いの道をペダルを漕いで進んで行く。
あれ…?
途中から、前方に見える星に興味が向いた。
赤く……、キラキラと大きく光る星。
他の星と比べるとかなり大きい。
いや……。
……近いのか?
冬の一等星であるシリウスは別の場所に有る。
シリウスよりも強い光。
「あんな一等星あったっけ?」
自転車のスピードを落とし、ゆっくり観察するように星を見詰めながら進んだ。
……おかしい。
その星の異変に気付いたのは、川沿いの道を途中位まで来た辺りだった。
最初のコメントを投稿しよう!