2173人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あれ……、何だろうね…?」
忘れもしない小学校5年生の秋。
この日私は幼馴染みの女の子と一緒に遊んでいた。
18時が迫っている事を告げる町内放送の後、お互いに家へ帰る道すがら、何気なく見上げた空に『それ』は姿を見せていた。
今も記憶に残る、夕焼けの赤みを帯びたオレンジ色の空。
その空に巨大なオレンジ色の光がハレー彗星のような尾を引いて、ゆっくり…、ゆっくり…、空をよぎって行く。
私も幼馴染みも、2人ともポカン、と口を開けた状態で空を見上げていた。
その光の物体は、ゆっくりゆっくり進んでいたかと思うと、いきなり物凄い速さで空の彼方へと一瞬で姿を消した。
ハッ!と我に返ったように、隣の幼馴染みを見ると、彼女も同じような表情で私を見ている。
「UFOかな!?」
「UFOじゃない!?」
大興奮で話していると、私の家の前で、あんぐりと空を見上げている母親の姿。
「お母さん!今の見た!?」
「見た!見た!」
幼馴染みと一緒に母親の元へと駆け寄り、確認すると母親も見たと言う。
結局あの巨大な光の正体は分からないままだが、幼馴染みと母親と3人でUFOでは無いかと盛り上がった。
思えば…。
これが私が遭遇した、最初の不思議な体験だったと思う。
最初のコメントを投稿しよう!