第1夕刻

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「…あれ……、何だろうね…?」 忘れもしない小学校5年生の秋。 この日私は幼馴染みの女の子と一緒に遊んでいた。 18時が迫っている事を告げる町内放送の後、お互いに家へ帰る道すがら、何気なく見上げた空に『それ』は姿を見せていた。 今も記憶に残る、夕焼けの赤みを帯びたオレンジ色の空。 その空に巨大なオレンジ色の光がハレー彗星のような尾を引いて、ゆっくり…、ゆっくり…、空をよぎって行く。 私も幼馴染みも、2人ともポカン、と口を開けた状態で空を見上げていた。 その光の物体は、ゆっくりゆっくり進んでいたかと思うと、いきなり物凄い速さで空の彼方へと一瞬で姿を消した。 ハッ!と我に返ったように、隣の幼馴染みを見ると、彼女も同じような表情で私を見ている。 「UFOかな!?」 「UFOじゃない!?」 大興奮で話していると、私の家の前で、あんぐりと空を見上げている母親の姿。 「お母さん!今の見た!?」 「見た!見た!」 幼馴染みと一緒に母親の元へと駆け寄り、確認すると母親も見たと言う。 結局あの巨大な光の正体は分からないままだが、幼馴染みと母親と3人でUFOでは無いかと盛り上がった。 思えば…。 これが私が遭遇した、最初の不思議な体験だったと思う。
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