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「俺は、っ…俺じゃ、ダメなのか」
狸寝入りする俺の背中に、それを知ってか知らずかは分からないけれど、涙混じりに呟く声を。
「なぁ、もう今さら、諦めるなんて…―」
ピクリとも反応してやらない俺の背中に、あいつが申し訳無さそうに、指先のほんの少しだけを触れさせたその温もりを。
「俺は、お前が好きなんだよ…っ」
真っ黒でいて、指通りのいいその髪が乱れるのも気にしないで、全て汚してしまえたら。
全部、自分のもんに出来たら。
そんなこと、何回だって考えたよ。
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