新月

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「くそ……“暴君”月詠大介め……あそこまで遠距離戦闘に特化した戦闘をするか、侮ったわ……」 「反省会なんて聞いてねえんだよ、とりあえずてめぇの為に自白剤は何個でも残してるからよ、抵抗してねえで諦めてすんなり聞かせろよ」  月詠大介。  口に入れ、飲み込ませた後、大介はこう質問した。 「俺の妹は、俺の妹はどこにいる!」 「妹……?」 「月詠架音だ! あいつはどこにいる!」  物凄い剣幕で迫る。感覚変化の牙に触れないように近づくことは無いが、殺気が迫ってくる。証拠に、念導力で大木に背中を押し付けられた。 「し、知らんよ……」 「……」  自白剤をつかって尚この反応は、まさしく“知らない”。それを悟った大介は十字軍として聞く事も忘れ、念導力を消してしまった。  だがその一瞬の隙をついて、日越智卓が接近する。相当のダメージを受けていたかのようだったが、それでもまだ戦えるだけの力はあったのだ。  完全に、大介の油断だった。 「大介!」  だが日越智卓が行動を達成するよりも、白い隕石が落ちるほうが速かった。  舞い起こる砂の粉塵の中に、一人の少年が卓の上に乗っかっているのが分かる。 「くっ、ああああああああっ!?」  それは卓の両足の骨を粉々に砕き、完全に卓を行動不能にしていた。 「かぐや姫はどこにいるの?」  声の主は今卓の足を砕いた、真っ白い髪のまだ小学生を思わせるような少年だった。だが、そんな子供の顔を見て枯葉積もる土に仰向けで倒れていた卓は恐怖していた。死を、覚悟した。 「昇天蝶……こ、ここから北東に行った所の俺達は、A2地点と呼んでいる場所だ……」 「そう、分かった」  卓がどうにか逆転しようと息を吹きかけようと顔を伸ばし――少年の足に蹴られた途端、突然中身で爆弾が爆発したかのように、赤くきつい臭いのする肉と脳と血が細切れ以上になった。 「油断しすぎだよ大介。まずは任務を遂行しなきゃ」
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