お預けなんて言葉は知らない

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「でもさ、何かあってからじゃ遅いだろ?」 「何か?」 「もし鍋が落ちてきて怪我したりとかさ」 「……」 それはそうだけれど、そんなことまで想定して呼ばなければならないなら、いつも「れーんー」と呼んでしまう気がする。 「危なそうなときは呼ぶね」 「本当にそうしてくれよ」 「うん」 ほっとしながら頷いた蓮だけれど。 「紗羽はしっかりしてそうでちょっと抜けてるんだよなぁ」 「な……っ」 確かに自分でもそうだとは思うけれど、今だって実際そうだったんだけれど。 それでもそう言われてしまうと面白くないのも事実で。 つい唇を尖らせてしまった。
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