休日の朝

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「全然足りねえ」 「え」 「抱いても抱いても、またすぐに抱きたくなる」 蓮にそう言われて、何て答えればいいのかわからず黙っていると、蓮はあたしの肩のところで顔を上げたけれど、それは息がかかるほどに近くて。 至近距離で視線が絡む。 「こうやって一緒にいるだけで満足してるつもりだったんだけどな」 「……うん」 あたしも一緒にいるだけで満足している。 けれど、蓮は『しているつもりだった』って言った? てことは、満足できていないの? 「触れれば触れるほど、またさらに触れたくなるし、抱けば抱くほど、またさらに抱きたくなる。 このまま紗羽をこの腕ん中にずっと閉じ込めたくなるほどに好きすぎてたまんねえ」
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