お預けなんて言葉は知らない

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◇ 「蓮の、ばか……」 乱れた呼吸と服を直しながら、唇を尖らせてそう言うけれど、蓮は嬉しそうに微笑んでいて。 「何で笑ってるの!?」 あたし、『ばか』って言ったのに。 「いや、紗羽がすっげえ可愛かったなと思ってさ」 「な……っ!」 「紗羽も『もっと』って言ってただろ?」 「!」 予想外の言葉に、あたしの頬は一気に熱くなる。 それを隠すために何か言わなきゃと口を開いたけれど。 「お昼ご飯、作らなきゃならないのに」 「ん」 「こんなこと、してる場合じゃないのに」 「ん」 「なのに……」 何を言っても、蓮の表情は嬉しそうなままで。
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