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ぼくが生きていることを実感出来るのは、地を踏み締め歩く時だけ。だから、ぼくは歩く。
ねぇ、ぼくは弱いよ。脆いんだ、すごく。
それは、誰かに言われるまでもなく理解していること。
歩いて、歩いて、歩いて。
歩くことが好きだ。草木を眺めるのが好きだ。朝だけの、夜だけの、綺麗な様を見つけるのが好きだ。
ぼくはただ、歩くだけ。
他には何も、出来やしない。することを、許されない。
ああ、と。
何故だろう。何故こんなにも、
なぜ、ぼくは、こんなにも弱い。
「……ふ、」
小さな声が、こぼれた。
それが皮切りとなったかのように、次から次へと、声があふれてゆく。
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