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[視点交代]
僕には年下の従兄弟がいる。
彼は、強く美しい人だ。でも、その内に弱さも持っていて。
懸命に在る様は、とても眩しい。
だからこそ僕は、彼を気にかけてしまう。彼は僕のことを目障りだと思っていないようだから、余計に。
ああ、それにしても。
昔はあんなにも小さかった彼が、こんなにも立派に大きくなるだなんて誰も思いもしなかっただろう。
大きくなり、強くなった彼は、傷付けられることはなくなった。
だけど、幼少時代の傷は癒えていない。そして、その傷により、彼はあまり長くない。
彼はそれさえも受け入れて、今を生きている。
そんな彼はやはり眩くて、それよりも、脆いのだ。
………彼は、憶えているだろうか。いや、忘れているだろう。
僕が彼を気にかけるのは、彼が懸命に在るからだけではない。
彼は、まだ幼い彼は、何の力も無い僕に願ったのだ。
『ねぇ、ぎゅうって抱きしめて』
もう、抱きしめてあげることはないだろうけど、そばにいる。君が辛い時悲しい時。
ただ静かに、そばにいよう。僕が君に寄り添うから。
だから、君はもう、ひとりじゃないよ。
そうだろう?晋。
▼END▲
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