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昔々。ある所に小さな女の子がいました。その子は色々なモノに囲まれて毎日を過ごしていました。でも毎日の様に泣いていたのです。その子が泣く度に人々は宥めます。「何か欲しいの?」「大丈夫よ。」と。そんな言葉は女の子にナイフのように突き刺さります。女の子は形あるモノが欲しいわけではありません。女の子の欲しいモノはいつまで経っても手に入りません。少女の泣く声と共に世界は音をたてながら崩れていきました。毎日……ゆっくりと……
―…そんなある日の事です。女の子の前に一人の青年が現れました。
「ねぇ、君。そんなに毎日泣いていたら疲れてしまうよ?」
「…………だぁ…れ……?」
「……僕はシナリオ……………いや。コウヤ…でいいよ…」
「こ……うや…?」
「うん。そう。僕はコウヤ。君は………シオン。そうだよね?」
「うん………」
「じゃあシオン。君はどうして泣いていたんだい?」
女の子は泣きながら答えました。
「…誰も…愛してくれないの……」
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