10年

3/13
前へ
/39ページ
次へ
「ま、いっか。」 考える事は好きじゃない。 さっさと帰って晩飯作ろっと。 「……ん?」 ふと目に付いたのは一人でブランコに乗ってる…男の子。 四、五歳ぐらいだろうか。 「もう四時なのに…。」 一人でこんな時間にいるって事は何かあったんだろうか。 愛華と同じような年齢の子は放っておけなくて…。 「これいるか?」 イチゴミルク味のアメをヒラヒラさせながら声を掛けた。 「…知らない人から貰っちゃいけないって、お母さんが言ってたもん。」 「そりゃそうだな。」 あたし一応学生服着てんだけどなーと思いながら隣のブランコに腰を下ろした。 アメはポケットの中にしまった。 「腹減ったなー。」 「………。」 「今日の晩飯、なんだろうなー。」 「今日面白そうな番組あったんだぜ。 知ってたか?」 「………。」 「あ、でも今日中にやらねぇといけねぇもんがあったんだった。」 あの資料の山、USBの中に入れねぇとなー」 前の事件の報告書にも手ぇ付けてねぇし。 「うわ…思い出さなきゃ良かったぜ…。」 あれ…片付けるのに骨が折れそうだぜ…。 .
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加