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「あたしの名前は愛。
アンタの、名前は?」
「わ…わた…わたる…!!」
「わたる、な、…どうしたんだ?」
「きょ…おかさと…けんか…して…大っ嫌いって…いちゃ…!!」
「うん、わかった。
とりあえず鼻かめ。」
あたしはポッケトティッシュを出すと数枚出しわたるの鼻水を拭った。
「で…なんで喧嘩しっちまったんだ?」
「おかさん…いつも妹ばっかり…。
おれに構ってくれない…。」
「うん。」
「ほんとほおれだって一緒に居たいし、おしゃべりだってしたいし…甘えたいんだよ―――!!」
「よしよし…。」
ようするに…わたるには妹がいて、母親はそれに構いっぱなし…。
で、寂しくて母親に構ってほしくて暴言吐いて出て来た…と…。
「お父さんは?」
「いっつも仕事で…おれが寝た後に帰って来てるんだって。
もうずっと…あそんでもらってない。」
「そうか…。」
あたしはポンポンと頭を撫でてやると膝をついてわたるを抱き締めた。
わたるは、あたしの肩に顔を埋める。
「…あたし、わたるのご両親には逢った事ねぇからわかんねぇけどよ…。」
「……。」
「母さんも父さんも、わたるの事大好きだと思うぜ?」
「なんで?」
「確かにわたるは一杯我慢してた、母さんに悪口を言っちまった。
でもな、親ってもんは子供の事無条件に愛してくれるもんなんだよ。」
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