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かなり丈夫か痩せ我慢のどっちかだろうけど…。
どっちにしても、凄い根性と気力だ。
「渉―――!!」
「お母さん!!」
あたし達がいる出口の反対側から若い女の人が走って来るのが見えた。
随分息が上がっていてわたる…渉の事を探し回ったんだろう。
柔らかい色…茶髪にパーマがかかったロングの髪。
地毛のあたしとそっくりだ。
渉は満面の笑みで母親のもとへ走っていく。
「渉!!心配したのよ!!」
「お母さんごめんなさい、でもおれ…。」
「違う!!渉は悪くない!!
悪かったのは母さんだ、渉に寂しい思い沢山させてごめんね!!」
母親は渉の事を抱き締め頭を撫でる。
な?親ってもんは無条件に子供を愛してくれるもんなんだ。
「お母さん、おれ、母さんも父さんの事も大好きだから。」
「うん。」
「おれ、守れるぐらいに強くなるんだ。」
「うん。」
「……大嫌いなんて言って、ごめんなさい…。」
「渉…。」
親子の姿を見てあたしは心底安心する。
渉の持ってた不器用な手で作ったであろうお守りを見てから思ってたけど…。
やっぱり、愛されてた。
良かったな、渉―――…。
―――
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