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あたしの前に差し出されたのは広げた手のひら。
この手は、何を要求してるんだ。
あたしは眉を寄せ涼を見れば…なぜかドヤ顔。
…なんかわかんないけど腹が立つ。
一瞬手が出そうになったがここは大人、我慢できた自分に拍手を送りたい。
「なにって…チョコに決まってんだろ。」
「は?なんで涼にチョコあげなきゃいけないわけ?もったいない。」
「…ナイテイイデスカ。」
「え、別にいいけどあたしの方向かないで。」
「…オレの扱い…やっぱりひどくなってきてる…。」
沈んだ涼は視界の中に入れないようにして、…思い出した。
「今日って…バレンタインだったんだ…。」
「忘れてたのかよ!!」
「ここの所忙しかったし…。」
そう…毎夜毎夜繁華街や暴走族
極道潰しに駆り出され、家では家事をこなし…最近では少しだけ愛華が反抗期に入った気がする。
(早くね!?)
「ヤバい…何も用意してない…。」
だから昨日晃の機嫌が悪かったんだ…。
でも別にあたしから貰わなくても他の女の人から沢山もらえそうなのに。
でもとりあえずどうしよう!!
チョコ買うお金持ってないし!!
材料費位ならなんとかなりそうだけど作る時間無いし!!
「涼…どうしよう…。」
「知らね。」
「だから昨日晃何となく不機嫌だったんだ。」
「知らね。」
「チョコ…どうしよう…。」
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