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「おい!そんなとこにいたら怪しまれんぞっ!」
驚いた弾みで、そんなどうでもいい情報が飛び出していた。
けど今時、学校内に知らない人は入れないし、校門にすら近寄らせもしない。
怪しければ即通報なんて世の中なのに
「だいじょうぶだもーん」
なんて呑気に美音はまた、ふふふと笑うだけ。
まぁ、そんなことよりも実際に心配なのは…
もうすぐ俺たちの下校時刻だ、ということだ。
つまりは、ゾロゾロと校門を出てくる健康男子高校生が、美音を見つけて声をかけないはずがないってこと!!
「お前さ―…、何でこんな所まで来てんだよ…」
本当は嬉しいのに、ちょっと溜め息が混じる。
「すぐ行くから」
そう言って携帯を切ろうとすると、美音の細くなった声が聞こえてきた。
「ごめん―…、やっぱ迷惑だったかな…?」
さっきより小さくなった美音の声に、胸の奥が痛くなる。
……違う。そうじゃない。
「迷惑なんかじゃ、ねぇよ…」
切ろうとした携帯をギュッと握り直して、精一杯優しい声で伝える。
…ただ、可愛い美音をみんなに見せたくないだけ。
なんて、こんな男の感情、きっと美音には伝わんないだろうな。
。
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