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「だって…、来たかったんだもん…」
さらに美音の声が小さくなる。
「……美音……」
(それは…、オレに会いに?)
―――ヤバい。
そう考えただけで堪らない。
あー!もう!この女どーしてやろうかって気持ちが急上昇してきて…
もし今が電話越しじゃなかったら、きっと
いや、間違いなく襲ってんな(汗)
なんて一人で勝手に妄想を繰り広げていると、また電話の向こうで美音がふふふと笑い始めた。
ん?あれ!?
「どーうしよっかなー、言っちゃおかなー。ってか、すぐ言いたい!黙ってらんない!実はねぇ…」
って、いきなり美音がテンションを上げてくる。
さっきまで、結構甘い雰囲気が流れてたうような気がするんだけど…
「実はね!決まったの!!」
(あ?やっぱ甘くない…?)
「教育実習!!来週から!!」
そう明らさまな程明るい声で叫ぶ美音が、電話越しでも満面の笑みで話してるのが分かる。
(なるほどねぇ。ずっと行きたがってた教育実習か…)
ちょっとガッカリしたけど、嬉しそうな美音にこっちまで笑顔になる。
「それでね!それでね!」
「何だよ、まだ他にも何かあんの?」
「ふふふ。なんとココなの」
「は?何が?」
「実習先」
「はぁ?」
「だーかーらー。ココなのよ、実習!徹平の学校。修和高校!!」
「はぁぁぁぁぁ~?」
叫びながらももう一度覗いた窓の外には、変わらず校門の前に美音が立っていて
こっちに向かって大きく手を振っていた。
。
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