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「あーあ、あたし教師向いてないのかなぁ…」
美音は部屋の真ん中に置いてある、ちゃぶ台にベターと突っ伏しながらボヤく。
それを聞いて俺は、自分の学習机から美音がいる後ろへ振り返ったまま言った。
「教師って言ったって、『家庭教師』だろうが」
言うとすぐに、
「それは今の話でしょ！これは将来の話っ！」
と、いちいちムキになって
「問題が解けない徹平が悪いんだからね！！」
そう怒鳴ってシュンとなってしまった。
まぁ。ここまでなると流石に可哀想なので問題を解いてあげる。
「あー！何だか今、唐突に分かった気がする！」
そう分かりやすい嘘を言って、スラスラと数式を解いて
「これでどうですか？美音先生？」
ノートを掲げて美音の隣へ移動すると、ベターとなってた体を起して、美音は微笑んだ。
「やれば出来るじゃん！」
「先生の教え方がうまいんだよ」
なんて、お世辞まで言ってやれば、ほら。
満面の笑み。
目を細くして頬がピンク色になって、子どもみたいにクシャっと笑う。
普通の人ならツッコミどころ満載な展開なのに、まったく気付かない鈍感さと、この単純さが堪らなく俺のツボだ。
。
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