―3―

2/5

30人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
その日。 最後のHRだけを残した教室で、突如ピリリと携帯が鳴った。 ポケットから取り出した携帯の待ち受けを覗けば 『着信 赤城美音』 (まだ学校にいる時間なのに、珍らしいな…) 「てっぺぇ、電話誰から~?」 携帯を見ながらボーっと突っ立つ俺に、取り巻きの女子の1人が猫撫で声で聞いてくる。 「うっせぇな、お前らには関係ねぇだろ…」 それをあからさまにウザそうに、シッシと犬を追い払うような仕草で女子たちをどかし、教室の窓際の隅へ移動した。 美音から、俺が学校にいる時間に電話がかかってくるなんて、実に珍らしいことだった。 何か話があるときは、決まって夜。 昼間の電話は、勉強とは別でプライベートとして待ち合わせをしている時くらいだ。 もちろん今日は、何の約束もしていない。 いつもとは違う様子にちょっと不安になりながらも、俺は通話ボタンを押した。 「もしもし?…どうした?」 ほんとは、美音からの電話がめちゃくちゃに嬉しいのに、ダサいから平静を装う。 「もしもし徹平?もう出るの遅いよー」 電話に出るのに時間がかかってしまった為か、美音はしょっぱなからまたイライラしていた。 べつにわざと焦らしたわkじゃないけど、これはこれで悪くはない、と思う(笑) 「今日…、会えないかな?」 「はっ!?なんで!?」 美音からの突然のお誘いに、台詞とは裏腹 やべぇ、顔がニヤける。 。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加